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『ありがとう』の練習中

『ありがとう』の練習中


『ありがとう!』
『ありがとね!』
『ありがとうございます!』

いつも自然に想いのこもった『ありがとう』を言える人でいたいと思う

だけど、なかなか難しい
身近な人ほどちゃんと伝えられないことが多い
伝える数が増えると流れ作業になっていないか気にもなる
38歳、まだまだ『ありがとう』の練習は続いている


2014年、もう10年も前のことになるが
僕はよしもとの若手劇場 5upよしもとで働かせてもらっていた
誠子さんとはそこで出会いお世話になった
劇場勤務時代は、休みもなく毎日毎日働きまくっていた記憶しかない

NGK(なんばグランド花月)の下で
朝から晩まで5upのチケットを手売りする日々
おかげさまでチケットを手売りすることにかけては
誰にも負けないぐらい販売できるようになった
劇場305席、立見71席で満員御礼
それを一日6公演分全て売り切ったこともある
前売りチケットを差し引いた1,200席分のチケット
金額にして300万円分を朝から一人で売り切った
手売りの大記録を樹立したその日
拍手喝采、賞賛の声を沢山いただきながらも
支払いのやり取りでマイナス誤差を出してしまい
1,000円自腹を切ったのは今ではいい思い出だ

僕は、こんな天職とも思える仕事に出会いながら転職を決意する
きっかけになったのは、とある経営者の言葉
『今の仕事の実績は、会社や芸人さんの看板でつくらせてもらったものじゃない?
自分で仕事をやりだすと「ありがとう」が変わるよ』

すべて理解できたわけではないけど感じるものがあった
僕は自分で商売がやってみたいと思い新たな一歩を踏み出したのだ

あれから10年経ち、今大阪市内の空堀商店街で
芋屋 頂 -itadaki- というお茶とお芋のお店を営んでいる
確かに毎日あの時とは違った『ありがとう』が伝えられるようになった

だけど気を抜くと有難いことを当たり前のことだと錯覚してしまう
真夏の練習の中、外野の玉拾いからようやくベンチに返って来て飲む一口目の麦茶のような
あの感覚で有難さを感じられたら
いつも自然に想いのこもった『ありがとう』を言える人でいられるかもしれない

やっぱり『ありがとう』は、何をやってもらったかではなく自分の感度が重要なのだ
だからこそ僕はずっとこれからも次へ次へ、上へ上へと目指し続けたい
ちょっと無理するぐらいの挑戦が、些細なことまでちゃんと鮮明に感じられる人にしてくれると僕は信じている


追記:
誠子さん、今回このような『ありがとう』について考える機会をいただきありがとうございました
『ありがとう』を伝えるだけでなく、多くの方に与えていけるように頑張ります


【profile】
川村 浩一 | Koichi Kawamura

滋賀県出身、大阪在住
学生時代は建築学を学び、大学院卒業後、吉本興業の養成所YCCへ入学(大阪NSC35期と同期)
2014年から若手劇場 5upよしもとへ。チケットの手売り販売やポスター、リーフレットデザイン、劇場業務全般を担当
その後、ベンチャーや大手通信会社の営業職を経て、独立を目指し芋屋に転職
これまでのデザイン、企画、エンタメ、販売、営業、飲食での経験を活かし
2024年1月4日 芋屋 頂 -itadaki-をオープン、メディアにも多数取り上げられている
2024年10月13日には、誠子食堂 × 芋屋 頂 -itadaki-でのコラボイベントも開催
今後の全国展開や2024年秋に誕生する一児の父として今後も挑戦は続く

Instagram @koichi_seil
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